【ネタバレ注意】Netflixドラマ「宇宙を駆けるよだか」 感想

普段Netflixではディズニーアニメや海外ドラマばかりみているのですが、おすすめに日本の作品が出てきたのでついつい見てしまいました。
予想より面白くて夜更かしです、、、眠い。

 

 予告編です。評判はどうなんですかね??


愛されるべきは、外見か、中身か―『宇宙を駆けるよだか』予告編

 

ここからは一般人の評論です。不快にさせたらごめんなさい。でもあくまで個人の意見です。

3つの対比

「お金持ち」と「貧乏」

まず1つ目は典型的な社会経済的地位の差。

社会経済的地位(Socio-economic Status=SES)とは

資本主義経済が浸透した社会では、社会階層(「身分」や「階級」などの社会的文化的尺度で峻別される)と経済的階層(財産 や所得などで峻別できる集団)の関係がほぼ平行関係にあり、社会階層で高い地位に占めるものは同時に経済的地位も高く、その逆もなりたつ(これを相関性が あるという)。

そのためこの両方の要素をまとめて、社会経済地位(SES)が高い/低いと いう。

社会経済的地位:Socio-economic Status

にゃああ。つまり、学歴などの「社会階層」は収入などの「経済的階層」に左右されているということ!驚愕の事実ですね。

 ここで確認しておきたいのは、主人公の小日向あゆみと海根然子は同じ学校のクラスメイトだということ。同じレベルの高校に通っていながら、SESにかなりの差が開いていました。

例えば

  • 食事
    あゆみちゃんは栄養が考えられているであろう手作り料理を食べているのに対し、然子ちゃんは半額のあんぱん。ちなみに然子ちゃんのお母さんはカップラーメン。
  • 身だしなみ
    然子ちゃんは髪をとかすことも許されていない環境だった。(=母親からの無関心)
  • 親の仕事
    あゆみちゃんのお母さんは恐らく専業主婦。それに対し然子ちゃんのお母さんは深夜の肉体労働。ホワイトカラーとブルーカラーがここまでか!てほど強調されていました。

などなど。あげだしたらキリがないくらい忠実に再現されていたと思います。

「かわいい」と「ブス」

SESのことは意識したことがなくても、「かわいい」と「ブス」の対比は日常生活で無意識下であってもしているかもしれません。(このモデル可愛い!とかとか。)それくらいポピュラーなトピックです。
ここで話したいことは「ブスの自覚」「ブス専」について。この言葉が聞こえてきた時こっわって思いました。だって

 

ブスって何?ブスの定義は?

 

って感じたから。人生でブスと言われ続けてきた然子ちゃんですが、あゆみちゃんの心が入った途端あら不思議。火賀くんに「かわいい」と言わせたんですねえ〜。(それは彼があゆみちゃん大好きだったからだけど。)

そこで思った。ブスとは?かわいいとは?だから、かわいい・ブスって心の話なのかもしれないって考えた。でもそんな単純じゃないかも。

実際然子ちゃん役の富田望生さんは前髪を伸ばしたり髪をぐしゃぐしゃにしたりしていて、明らかに「ブス」を演じていた。しかし!あゆみちゃんが入った途端前髪をとめたりして「可愛く」演じた。

確かに心の綺麗さがその人の「かわいさ」を決めているように書かれていたけど、その「心のかわいさ」を決めるのに、容姿も関係していたと思うな。というのも、自分ブスだなって思って心が汚くなるわけじゃないと思うんです。社会的に「ブス」のレッテルを貼られて生きるという事実が然子ちゃんの考え方に偏りを持たせてしまったんじゃないかなって。

 

然子ちゃんの中にいるあゆみちゃんはこのように言っていました。

「見た目が勝るとか劣るとか、そういう考えをしたことがなかった」

それは社会があゆみちゃんのことを「劣っている」「ブス」と判断しなかった故の考え方ではないでしょうか。

 

「かわいさ」「ブスさ」を決めるのはいつも社会であって、その子の心が汚かったとしてもその汚い心を作ったのも社会。

なかなか生きづらい環境に私たちは生きているなと思いました。

「外見」と「中身」

印象的だったのは、入れ替わり後の言動。体は違えど、歩き方や仕草、口癖などは変わらないんだなと。うまい。

 

外見を変えても中身は変わらない

 

長年体に染み込ませて来たハビトゥスは体を変えたところでってことですね。

いじめ問題

自殺

子どもの自殺の件数は新学期が一番多いと言われています。いじめは現在の日本でも改善して行くべき問題のひとつです。

然子ちゃんは団体行動を避けられていたり、”海根に触る罰ゲーム”というようないじめを受けていました。また、高校の先生からもばかにされ、逃げ場がどこにもありませんでした。

そこで然子ちゃんの取った行動が自殺です。どうせ死ぬなら、と一か八かで憧れのあゆみちゃんと入れ替わろうとしました。

これが劇中で「命がけの訴え」と表現されていたことにうるっと来ました。自殺は本当に命がけの訴えです。

 

それまでのささやかな訴えに気づける人が周りにいたらな。

居場所

然子ちゃんには学校にも、家にも、どこにも居場所がありませんでした。

然子ちゃんの中に入ったあゆみちゃんはこう言っています。

確かに最初は孤独だった。
でも火賀くんが気づいてくれたとき、たった1人でも自分を認めてくれる人がいれば暗闇から出られるんだって分かったの

 

居場所って、その人の人生を大きく変えると思う。

切ない恋心

そう、本当にこれも見どころ。火賀くんがあゆみちゃんに好意を持っている中でしろちゃんとあゆみちゃんは付き合い出す。まず、頑張れよって応援する火賀くんに泣ける。

あゆみちゃんが然子ちゃんの中にいるとき、火賀くんはついに告白します。火賀くんがあげたバレッタはきっとあゆみちゃんへの好意の象徴で、それをあゆみちゃんが入ってる然子ちゃんがつける時、生活が明るくなってた。あゆみちゃんが然子ちゃんの中でも頑張れたのは彼の好意あってだったんだなああ。

そんで最後、火賀くんが2人をくっつけようとするシーンでこう言います。

そのバレッタ、今のお前に必要ない

くううううううううううううううう切なすぎる。うるうる。

そんでその後、正真正銘然子ちゃんにバレッタをつけてあげます。ありゃ?って思ったけど、その後クラスメイトの2人が「バレッタずれてるよ」と直していました。クラスメイトからの「好意」にもうるうる。

エンドロール

エンドロールは最高にいかしてます。主役の4人が入れ替わった全員の名前が記されます。粋ですね。好き。

  

沢山沢山考えさせられるドラマでした。
いつも映画とか見た後、この気持ち誰に話せばいいんだろうって思ってたけど、ブログっていいな。